「栗田博士の からだの痛みをとる本」


まえがき−痛みのない人生は理想の人生か

 痛みを感ずることなく人生が過ごせたらどんなにすばらしいことでしょうか。
 そのように願っておられる人は少なくないでしょう。しかし、実は、それは危険なことなのです。というのは、痛みは私達の生命を守るために発達した仕組みのひとつであり、からだに危険を知らせ、何らかの反応を起こして、危害を防いだり、損傷を最小限にとどめる役割を果たしているからです。
 世の中には、痛みに極めて弱い人と、痛みをほとんど感じない人がいます。痛みに弱い人では、痛みのために日常の行動がさまたげられがちになります。痛みに強い人では、痛みを無視して行動するために、寿命を縮める可能性があります。いずれにしても、痛みのために人生の念願を全うできないことがありえるのです。
 本書では、その痛みをよく知り、痛みの対処法を理解することを通じて、痛みとの適切な付き合い方を知っていただくことにしました。


KKロングセラーズ。1993年初版。
定価:880円(税込)。